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2014/09/01


腸の薬に用いられる成分について
ま ず、腸内の細菌のバランスをとるための生菌成分として、ビフィズス菌、アシドフィルス菌、ラクトミン、乳酸菌、酪酸菌などが 配合されることがあります。これらが配合されるのは 整腸薬であり、これらの成分は整腸成分にあたります。
その他には、消化管運動が 激しすぎたり、低調だったりするときに腸運動機能の調整の役割をする成分の トリメブチンマレイ ン酸塩があります。
  次に、止瀉薬に配合される止瀉成分をあげてみます。
止瀉薬とは 下痢、食あたり、吐き下し 水当たり、下り腹(くだり)軟便などに処方されるお薬です。それらの配合される止瀉 成分 は 腸粘膜の保護や炎症を和らげ、腸粘膜のタンパク質と結合して粘膜を引き締める効果があるので収斂成分といいます。 止瀉薬に配合される収斂成分にはまず 次没食子酸ビ スマス、次硝酸ビスマスなどがあげられます。
これらのビスマスというミネラルを含む成分は アルコール類といっしょに摂取すると ビスマスの吸収が高まり、不安や記憶力 減退、注意力低下、頭痛などの精神神経症状が起きる可能性があります。また 胃潰瘍を患っている人もこのビスマスの吸収が高 まる恐れがあり、妊婦などもこの成分が胎盤関門を通過する恐れがあるので 服用をさけるべきです。
 もうひとつの 止瀉薬に用いられる収斂成分には タンニン酸アルブミンがあります。 この成分は牛乳に含まれるタンパク質 の ガゼインから精製される成分であるので牛乳にアレルギーのある人は使用を避けるべきなのです。
 その他の収斂成分としては 生薬のオウバク、オウレンなどがあります。これらのいままで解説した止瀉薬 は 細菌性の下痢や食中毒など いちはやく有害物を体の外に出す必要がある状況で服用すると、症状を悪化させる恐れがあるので注意が必要になります。
  次に、止瀉薬に用いられる成分にロペラミド塩酸塩という成分があります。
これは 腸管の運動の低下をによる下痢を改善する成分ですが、食べすぎ、飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢に有効とさ れ、食あたり、水当たりには効果はないとされます。
 また 下痢の状態が続く腸内は 細菌のバランスが悪くなっていると考えられますから、止瀉薬には 腸内殺菌成分として、ベ ルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、クレオソートな どが用いられます。タンニン酸ベルベリンは 収斂成分 ですでにでてきた タンニン酸アルブミンと類似した名前ですが、タンニン酸ベルベリンのタンニン酸の部分が消化管内で収斂作用を発揮し、ベルベリンが 殺菌作用を示すわけ です。
 クレオソートは止瀉薬で用いられるときには 殺菌作用がメインですがクレオソート自体は 腸管の神経 を麻痺させる作用もあ るので、長期連用は避けるべきなのです。
 また 腸内の有害物質を吸着する 吸着成分に カルシウムやアルミニウムを含む成分が配合されることもあります。これは  もう ご存知でしょうが アルミニウムを含む製剤は透析患者などでは 避けるべきですね。
  次に瀉下薬について解説します。 瀉下薬には瀉下成分が配合され、これはいわゆる下剤にあたります。

便秘などにともなう肌荒れ、頭痛、のぼせ 吹き出物腹部膨満腸内異常発酵など 腸の内容物の排除を促すための成分です。 そ のもっとも用いられる処方は 腸に対する刺激です。刺激をすれば内容物が排泄されやすくなるという理論ですが、そのうち、小 腸に対して刺激をする成分がヒマシ油です。この成分は もともと 誤飲、誤食、中毒症状を改善するために用いられることも多いのです。 ただし、脂溶性の物質の中毒であるときに このヒマシ油を用いるとかえって症状を悪化させるおそれが あるので注意が必要です。
 では 瀉下成分、つまり刺激性瀉下成分のその他をみていきます。その他の成分は すべて大腸を刺激すると考えてよいでしょ う。
センナ、センノシド、ダイオウ、アロエ、カサントラノール、ビ サコジル、ピコスルファートナトリウムが あります。ダイオウは漢方製剤ですが、通常量では瀉下効果があるもの の、大量の摂取で 逆に止瀉効果がでてしまうので注意が必要です。
  ビサコジルは 胃などでは溶けずに腸内で溶ける ようにコーティングされた製品が多く出回っています。ビサコジルとピコスルファートナトリウムは  同じ系列の大腸刺激性瀉下成分ですが ピコスルファートナトリウムは 胃でもって溶けま す。そして大腸細 菌そう(さいきんの塊)により活性化されて 徐々に効果が表にでてきます。これに対して ビサコジルは溶ければ、すぐに効果を発揮するので 意図的に胃ではまだ溶けないよ うに細工された腸溶錠という コーティング錠として 製品化されているのです。
 また多くの刺激性瀉下成分はこれが配合された瀉下薬は、腸の急激な動きに刺激されて、流産、早産を誘発するおそれがあるの で妊 婦の使用は避けるべきなのです。また ヒマシ油、センナ、センノシド、ダイオウ、カサントラノールは妊婦が服用した場合、乳汁中に移行する ことが知られているので注意が必要です。
 また 酸化マグネシウムのような無機塩類も配合されることがあり糞便中の水分量を増やし、排便を促したり、大腸を刺激する 効果 をもちます。
 また膨潤性瀉下成分という、腸管内で水分を吸収し糞便のかさを増したり 柔らかくする効果のある成分に、生薬のプランタ ゴ・オバタや カルメロースと いう成分があります。
また 腸内で硬い便に直接水を浸透させる界面活性効果をもつ ジオクチルソジウムスルホサクシネートDDS という成分もあ ります。 大腸刺激成分のビサコジルとともに配合されることがよ くあります。
 マルツエキスは サツマイモ由来の麦芽糖のゆる やかな発酵作用で、便が柔らかくなり排出しやすくなる成分です。この瀉下成分は乳幼児にも使うことができる成分です。